プリンシパルのように無謀な役決めではなく、ひとりひとりきちんと役の決まった普通の舞台公演ということで、絶対に見たかった「じょしらく」。
なんなら3チーム全部見に行くくらいの気概でいたのですが、3度のチケット争奪戦にとことん負けてしまいました。
その後発表されたライブビューイングはなんとかチケットを確保したものの、やっぱり現地で生の舞台を見るのには劣るよなあと思っていた矢先、運営さんから「機材席の追加を急きょ決定した」との恩着せがましい朗報が。
しかもチケット発売の翌日6/21は、推しである伊藤万理華さんの単独落語披露日。予定もないしこりゃトップギアだなと万全の体制で臨み、なんとか機材席チケットを手に入れました。
ということで、「じょしらく」チーム”ら”の3公演目と万理華さんの単独落語について、感想を書いてみます。
途中まではネタバレなし、「ここからネタバレ」の注意書きより下は思いっきり本編の内容に触れます。まだ見てない方は前半だけ、もう見た方や見る予定のない方は最後まで、お読みいただければうれしいです。
会場と席。
この舞台の会場は、アンダーライブをおこなったこともある渋谷の「アイアシアタートーキョー」。座席がゆったりしていて手頃なサイズの箱としておなじみです。ネット上にも情報が流れていますが、今回は過去にないくらい入場時の身分証確認をしっかりとやっていました。提示を求められるだけでなく、チケットとの照らし合わせもきっちりやっている印象。
小箱だからできるのでしょうが、これは今後も続けてほしいですね。もちろん持ち物チェックもありました。
会場に入り、機材席ということでどんなくそ扱いをされるのかと思いきや、列こそ後方ではあるものの中央ブロック。特に私の席はどセンター。
先行販売で上手側や下手側の端になった方よりも、もしかしたら良席だったかもしれないです。
チケットは完売していますが、ちらほらと空席もありました。
パンフレット。
会場に入る前、外の物販でパンフレットだけ買いました。席に着いて開演を待つ間にぱらぱらと眺めていたのですが、このパンフレット、値段が2,000円とそれなりにするだけあってなかなかの内容。
プリンシパルtroisといい、このじょしらくといい、のぎの舞台はパンフレットにしっかり力を入れていてうれしいですね。
原作の説明、脚本&演出の川尻恵太さんによるあいさつ文、そしてメンバー1人につき見開き2ページを使った写真と簡単なインタビューが掲載されています。
映画や舞台のパンフレットを買うのって、わりと来場記念みたいな意味合いが強いと思うのですが、これは読み物としてもなかなか面白いです。文字数は少ないけど。
これから公演を見に行く方は、買ってみてよいと思いますよ。特に推しがいる方にはおすすめ。
私が到着した開演40分前くらいの時点で、物販に列はなくてガラガラでした。
これから見る方に。
※まだネタバレありません。予習は必要か?
以前、「じょしらく原作を予習しよう」という記事を書いたんですけれど、実際の公演を見終えてみて、予習はあまりいらないかなという気がしました。
公演のストーリーをすごーくおおまかに言うと、「原作の設定やシーンの一部を取り込みつつ、現実の乃木坂46をからめたお話」になっています。
なので原作に出てくるセリフや笑いどころがそのまま使われている箇所もありますが、知らなくても笑えます。
キャラクターの名前は知っておくべし。
予習するとしたらやはり、各キャラクターの名前ですね。
この舞台、落語を題材にしていながらシットコムに近い形式なので、ひとつの部屋の中で5人の会話が続いていきます。
(※シットコム…シチュエーションコメディ。決められた空間の中、役を演じる人たちの会話で成り立つおもしろ劇のこと。落語とは真逆とされる形式なんですよ。)
たとえば万理華さん(てとら)が「ねえ、キグちゃん」と言ったときに、キグちゃん=星野さん(きぐるみ)のことだと分からないと、会話についていくのが1テンポ遅れてしまいます。
序盤に大々的なメンバー紹介が用意されていますが、メンバーと名前+あだ名の組み合わせを頭に入れておいて損はないと思いますよ。
舞台の醍醐味、アクシデント&アドリブ。
映像ものではない生の舞台を見るにあたって、醍醐味はアクシデントとアドリブですよね。この日の公演でもアクシデントがいくつかありました。
いちばん大きなものでは、劇中ステージが明転して斉藤優里さんがひとりで話すシーン。マイクが不調だったのかスピーカーから声が出ませんでした。
小さな会場ですし優里さんの声はよく通るので生声でもセリフは十分聞こえたのですが、スタッフさんと思われる方の怒声が裏からうっすら聞こえ、やっちゃった感ありましたね。
ほかにもセリフが飛んだり、太鼓を叩いたのに音がうまく出なかったり、かぶりもの?が落ちたりといろいろありましたが、お笑いの舞台においてはそういうのも全部込みで面白かったりするので、まったく気になりませんでした。
誰かのアクシデントを、他の誰かがアドリブでカバーするところなんかもあって、むしろみんな成長してるんだなと嬉しくなってしまいます。
演出として、ここはアドリブと始めから決められているシーンもあるようです。メンバーが一瞬素の表情になるので、どのシーンか見れば意外とわかりますよ。
ただ笑うだけでは終わりません。
前半、原作に沿った会話劇が繰り広げられたり、アイドルオタクあるあるなんかを挟んだり、笑えるポイントがいくつもあります。
このままわいわい笑わせてくれるんだろうと思いきや、中盤あたりから「あれ?」と思わせる不思議な描写が。キーになるキャラクターは赤髪の「蕪羅亭 魔梨威(ぶらてい まりい)」。マリーさんです。
落語の肝である「落ち」に向かってストーリーが進んで行くわけですが、そこにうまくアイドルをからめていて、私最後の方でうるっときてしまいました。
これは、福神組ではないメンバーがやるから意味のある舞台なんですね。
丸顔亭寄席披露。
ネタバレ前の最後に、単独落語のお話。じょしらく全15公演それぞれ、毎回ひとりが単独で落語を披露します。私が行った回は伊藤万理華さん。
公演後にアンコール的な感じで披露するのかと思ってたんですが、劇中に出てきます。全員同じ内容ではなく、メンバーによって数パターン用意されているようです。
万理華さんが披露したのは「寿限無」にアイドルネタを合わせてアレンジした話。噺と書いたほうがよいのかな?
元の寿限無と同じように長い名前を早口に何度も言うのがくだらなくて面白いんですが、さすが万理華さん。しっかり覚えていて、声の緩急や声色、表情を変えてやりきりました。
途中、一瞬だけセリフを忘れて間があく場面がありましたが、気になるほどではなかったです。ぱすぽぱすぽ。
ここからネタバレ!がっつり内容にふれます!
深読みを交えて解釈。
ここからは結末とか内容に思いっきりふれつつ、チーム「ら」のメンバーを元に物語を私なりに解釈してみます。この物語、”パラレルワールド”がキーワードになっています。
楽屋での会話劇中は5人とも漫画のキャラクター。暗転して楽屋から外に出た描写のときはキャラクターから乃木坂46の各メンバーに戻り、本名で呼び合う。
ところがマリーさんだけは外に出てもマリーさんのままで、他のメンバーが本名で呼び合っているのが理解できない。
「じょしらく」という物語の中の世界と、じょしらくの舞台公演を行う現実の「乃木坂46」の世界。マリーさん役の優里さんだけは「じょしらく」の世界にいて、他の4人はじょしらくのキャラクターを演じる「乃木坂46」の世界にいます。
終盤に近づき、落語家である「じょしらく」のマリーさんは、万理華さんの言葉によって自分はマリーさんを演じている「乃木坂46」の斉藤優里だということに気づき始めます。
そしてラスト。結局自分は落語家なのかアイドルなのか悩んだ末、「これ以上落ちてたまるか!」という優里さんのセリフで幕を閉じます。
パラレルワールドは何を示しているのか。
これってたぶん、脚本を書いた川尻恵太さんの中にある「アイドル」のイメージをそのまま表現したんじゃないですかね。
アイドルとして周りから求められる自分と、ひとりの人間として本音を抱える自分との間にギャップがあって、アイドルはそれに苦しんでいる。
っていうイメージを、2つの世界が交わるパラレルワールドに置き換えているように思えました。
なのでパラレルワールドは、メンバーそれぞれが抱える心の葛藤です。
落ちずに終わる落ち。
私途中まで、マリーさんが不思議な世界に迷い込んでしまった的なSFの方に話を持っていくのかなと思ってました。
でも結末は、落語の「落ち」とアイドルにとっての「落ちる」をかけて、私は”落ちて終わる落語家”ではなく”アイドル”なんだ、これ以上落ちたくない!というメッセージで終わります。
選抜3列目とアンダーのメンバーにとって「落ちる」は当然、アンダー落ちやオーディションでの失敗、もしくはスキャンダルなどで落ちていくことを示していると読み取れます。
乃木坂の選抜システムやアンダーメンバーの現状なんかを知っていないと書けない脚本で、これを短期間で吸収し脚本にした川尻恵太さんはすごい方ですね。
え?これで終わり?と思わせるような、「落ちずに終わる」落ち自体が、川尻さんからメンバーへの応援なのかななんて思えてしまいます。
自分をさらけ出せ。
落語家のマリーさんが「自分を演じていることの象徴」だとして、ラストは優里さんが落語家である自分(マリーさん)を否定して終わるわけですよね。
これ、ものすごーーく深読みをすると、川尻さんからの「アイドルとして上にいきたいなら演じているだけではだめ、自分をさらけ出せ」というメッセージのような気がしました。
偶然かわかりませんが、以前バナナマンの設楽さんが「芸能界である程度のところまでいったら、あとは自分の人間性ををさらけ出さないと続かない」というようなことを言っていました。
川尻さんとゆかりの深いラーメンズはバナナマンとも親交が深いので、つながりがあって同じような考えを持っていても不思議ではないのかなと。
感動したとこ。
感動する場面、見た人ならだいたい一緒だと思います。
ラスト直前、優里さんが「アイドルの万理華は自分を演じていないのか?」と問いかけるシーンがありました。
それに対し、万理華さんが「演じているけど、嘘をつくのとは違う。みんなに笑顔を届けるために辛いことがあっても隠すんだ。」というような内容のセリフを返します。(うろ覚えです)
万理華さんが言ったからっていうのもあるんですけれど、なんかもうものすごく心に響いてしまって。
物語の展開的にも、そのシーンの演出的にも、これは川尻さんが言いたいことをそのまま手寅に託したセリフだと思います。
私が見た回は万理華さんですが他のチームでこのセリフを言うのは、高山さんと中元さん。
のぎファンだからこそ分かる重みがありますよね。
まとめ。
最後に”甘”ではなく”辛”の方の意見を少し。この舞台、乃木坂をまったく知らない人にとってはそんなにハマらないんじゃないかなという気がしました。
あくまでアイドルや乃木坂46やそのメンバーを知っているからこそ伝わる部分が大きくて、”ネルケプランニング主催のアイドル舞台”の域は出ていないような。
と言っても私は大満足でした。行ってよかった。直前にチケットが取れて本当によかった。
ラーメンズの公演は、小林賢太郎さんと片桐仁さんをまったく知らなくてもすごく面白いです。
のぎには優れた表現力を持っている子がいると信じていますし、川尻さんの恐ろしさも知ることができたので、この先乃木坂ファンに頼らなくてもよいくらいの舞台が生まれたらいいなと私は願ってます。
批判ぽくなってしまいましたけれど、ほんっとうにすごくよい舞台でした。各チームの千秋楽、ライブビューイングで見てきます。メンバーごとの感想はそのあと書こうかな。
1件のコメント
じょしらくの感想の爪痕をカキコしようと思う・・
まずこの舞台では松村の不倫スキャンダルがあった事もあって・・
赤は苦笑いを浮かべながら例の台詞を放つ「松村」がダントツの赤!!!
ピンクは台詞にメロンパンがあるので他の子がどんなに神がかった芝居をしても無駄だった、、「みなみ」のピンク!!!
青は圧巻だった山崎で決まり。この子以外はやりすぎな感じで目に余る、、、陰気くさい感じが完璧だった山崎の青!!!
紫は堀で完璧だった、、、他の子は乱暴な仕草が全くできないしムカつかない。。なので堀の紫!!!(琴子もよかったが。。。イジメやる感じでは堀のが上)
最後の黄色が迷うのだがコント芝居と見るなら中元で。。。
通常の芝居と見るなら伊藤だが。。。
みさみさのグループはコントに完全になってたので他のグループより間が悪く終始スピードが速い・・・
歌のクダリでの中元の勝ちだし、高山は灰汁が強くては汚れ感がする。。。
コント舞台を気に入らなければ伊藤になるだろう・・・
ココは難しいw
こんな感じ